欧州連合(EU)は、2025年10月12日より新たな出入域管理制度「EES(Entry/Exit System:出入域システム)」の段階的運用を開始します。
これにより、日本を含む非EU加盟国からシェンゲン協定加盟国(欧州29か国)へ入国する旅行者の出入国情報が電子的に記録されるようになります。
本記事では、EESの概要や対象国、導入の背景、日本人旅行者への影響について分かりやすく解説します。
EESは、EUが導入する新たな電子出入国管理システムで、これまでパスポートに押印して記録していた入出国情報をデジタルデータとして一元管理する仕組みです。
この制度の導入により、EU域内への入出国履歴を正確に把握できるようになり、不法滞在の防止やセキュリティの強化が期待されています。
EESの対象となるのは、以下の条件に該当する旅行者です。
・日本を含む 非EU加盟国の国籍を有する渡航者
・観光・出張などの短期滞在目的(90日以内) でシェンゲン圏に入国する方
・シェンゲン協定加盟国の 空港・港湾・陸路国境 を通過して入出国する方
したがって、日本からフランス、ドイツ、イタリア、スペインなどへ観光や出張で渡航する場合は、EESの対象となります。
EESでは、入出国時に以下の情報が電子的に登録されます。
・パスポート情報(氏名、生年月日、国籍など)
・生体認証データ(顔写真および指紋)
・出入国日時および場所の記録
これらの情報はEUの中央データベースで安全に管理され、従来のパスポートスタンプは不要となります。
EESの導入に伴い、日本出発前に特別な申請や登録を行う必要はありません。空港や国境での入国審査時に、係官の指示に従って顔写真の撮影や指紋登録を行います。
EESの対象は、以下のシェンゲン協定加盟国29か国です。
アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、クロアチア、ブルガリア、ルーマニア
これらの国を旅行する方は、EESについて頭の片隅に置いておきましょう。