南米ベネズエラの首都カラカス(Caracas)は、かつて豊かな石油資源を背景に“南米のパリ”とも呼ばれた都市。
しかし、現在では世界でも屈指の治安の悪さを誇る都市として知られており、外務省や各国の政府機関も「渡航中止」「退避勧告」を発令するほどです。
この記事では、最新の治安情勢、犯罪傾向、旅行者が直面するリスク、そして安全対策まで徹底的に解説します。
カラカスは、長年にわたって「世界で最も殺人率が高い都市ランキング」の上位常連です。
時期によっても異なりますが、人口10万人あたり約52~122件の殺人事件が発生しており、殺人だけでなく、強盗・強姦・銃撃事件も多発しています。
また、警察や治安部隊の汚職・機能不全により、多くの犯罪は未解決となり、殺人の検挙率は2%以下とも言われています。
カラカスでは日常的に誘拐事件が起きており、油断していると被害に遭う可能性があります。
誘拐には色々な種類がありますが、特に多いのが以下の2種類です。
・エクスプレス・キドナッピング
短時間拉致し、手持ちの現金や貴重品に加えて、ATMで金を引き出させて解放
・計画的な誘拐
外国人や富裕層をターゲットに数日拘束し、身代金を要求する誘拐
現地在住のベネズエラ生活に慣れている外国人、外交官、企業関係者でさえ被害に遭っており、一般の観光客でもターゲットになる可能性があります。
夜間の外出は極力避けるのが安全に滞在する大原則です。また、昼間でも人通りの少ないエリアやスラム(バリオ)には近づかないことが絶対条件です。
カラカスでは、マドゥロ政権に反発するデモが頻発しており、治安部隊との衝突が日常的に起こります。
1.デモが暴徒化し、催涙ガス・実弾・放水車が使われることも
2.ジャーナリストや外国人も**「スパイ容疑」などで拘束されるリスク**
3.場合によっては恣意的に身柄を拘束され、拷問・長期拘束されるケースも報告されています(米国務省報告)
2025年現在、以下の国々はカラカスおよびベネズエラ全域に対し、最も厳しい渡航警告を発令しています。
国 | 渡航勧告内容 |
日本 | レベル3〜4「渡航中止・退避勧告」 |
アメリカ | レベル4「Do Not Travel(渡航禁止)」 |
イギリス | 「必要不可欠な渡航を除き中止」 |
カナダ | 「安全上の理由から渡航を控える」 |
オーストラリア | 「一切の渡航を中止」 |
米国国務省はベネズエラを不当な拘束の可能性が最も高い国の一つとして、米国人の渡航を事実上禁止している状況です。
カラカスには、かつての繁栄を物語る建築や美術館、食文化も存在します。しかし現在はそれらを安全に楽しめる状況ではありません。
旅行者にとっては、「渡航しないこと」こそ最大の防犯対策というのが、現実的な判断です。
どうしても行かなければならない場合は、徹底した準備と現地ネットワークの確保を行った上で、細心の注意を払って行動してください。
リスク項目 | 評価 |
殺人・暴力犯罪 | 非常に高い |
誘拐・恐喝 | 産業化レベルで発生 |
タクシー・偽警官・汚職警官 | 外国人に特に多発 |
政治的不安 | 拘束・投獄のリスクあり |
渡航勧告 | 渡航禁止・退避推奨多数 |